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‘5分前’と‘テイコク’ホテル
私の友人A君が経営をしている会社を訪問した時のことである。
会社に到着したら受付嬢が「お待ち申し上げておりました」という。「いらっしゃいませ」だけよりも‘お越し頂くのは存じ上げておりました’の気持ちが入っているだけに、何となくその会社への‘好感度’が上がるというものだ。
応接室まで案内されたが、廊下にはおよそ20m置きに‘標語 or 注意書き’みたいなものが眼につき易い所に貼ってある。そこにはただ‘5分前’と何とも謎めいたことが書かれている。

私は、社長のA君とは挨拶もそこそこに聞いてみた。「廊下の‘標語’みたいなやつ、あれ一体何?」
「おお気づいたか。あれは社員から‘標語’を毎年一回募集しているが、今年の‘最優秀作品’なんだ」という。
彼の説明はこうだった。

「会社というものは個人の集合体で、その個人個人が言わば他人とは違う‘特別任務’をこなしているのだから、‘会議’は会社組織にとっては最重要行為の一つだ。その会議をきちんと有効活用出来るかどうか、それがその会社の命運を担っている。」「なるほど、な~る程」「そこでだ、会議有効活用の第一歩は‘定刻開始’という訳だ。そのためには、全員が、5分前には席に着いていること。それがあの標語の意味であり、素晴らしい表現だとは思わないか?」





「経営のトップは、何も素晴らしい事業計画を自ら常に創り出さなければならないということではない。社員にその環境を与えること、それも重要なテーマの一つだ。」彼はそう付け加えることを忘れなかった。

会社経営の第一歩が、実は会議の有効活用にあるなんて、気付かなかった。
その緊張感が会社の経営方針にも貫かれているであろうし、事業計画にも反映されていると見えて、彼の会社の経常利益の伸び率はこの数年6~7%だという。
5分前の実行のおかげで、会議はほとんど予定時間内に終わるという。
会議が長引けば、全員のその後の予定が狂ってしまうことになり、延いては納期の遅れに繋がらないともか限らない。そしてそれが会社の信用の善し悪しにも繋がることにもなろう。



そう言われれば、時刻については思い出すことがある。
帝国ホテルでの出来事である。その日は、或る有名な会社の社長が書いた経営に関する本が上梓されその出版記念パーティが行われることになって私も出席することとなった。
開始定刻になったが、まだ出席予定の人数には達していない様子ではあったが、司会を担当したその会社の総務部長さんが、定刻通り始めると言う。

image_main帝国ホテル
image_main帝国ホテル posted by (C)mobaradesu
http://www.imperialhotel.co.jp/j/

その口切りが何とも素晴らしかった。
「ここのホテルは、‘テイコク’ホテルだから、まだお見えになっておられない方々には恐縮ですが、このパーティも定刻に始めねばなりません!」拍手だけでなく‘喝采’まで起こった。当の社長さんもニコニコ顔である。
多分普段からこの会社では、‘時刻’ということに関して、A君の会社と同様厳しい管理が行われているに違いない。駄洒落もこんな風に上品に使われることもある。

日本の新幹線や通常の電車にしても、時刻の正確さは世界一というのは常識である。
どうやら、日本人の‘時刻’や‘時間’に関する‘慣性’が技術立国たる所以であるような気がしてきた。









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[2011/12/18 10:45] | 学習と文化 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
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