蜘蛛の不思議(その1)
昨日(2015年07月10日)の本ブログで、 ‘蜘蛛は昆虫ではない!’と書かせてもらったが、 「蜘蛛は蜘蛛、‘昆虫でない’ことにこだわる必要は無い!」 と仰せの方も多いと思われる。 「物事を‘或る理論’に基づいて体系化すること」が学問だそうだから、蜘蛛やカマキリを‘深く’知ろうとするなら、全生物の中での彼らの‘位置づけ’を知れば理解が一層進むだろうし、その理解をもっともっと深めるためには、それらの類似現象からの手法を使って実験・検証が有効な手段となり得る。 そんなことのために、現象等々を‘体系付ける’必要がある! それが、‘蜘蛛は昆虫ではない!’ということに繋がるのである! まあ、まあ、そんな余り面白くも無い議論(?)は、別として、今回は、蜘蛛に関する第1の疑問 蜘蛛は、 ① 何故網の中央に‘逆さまになって’餌を待っているのか? ![]() ![]() 余りこんなことを考えたことのある人もいないとは思われるが、そうだとすれば、蜘蛛にとっては極めて大事な習性という事になる! 画面で見る限り、はっきりと‘頭が下’である! この‘姿勢’を採る‘蜘蛛の作戦’とは、一体どんなことだろうか? 疑問が起こった場合、直ぐに人に聞いたり、文献を探索する人がいる。 それはそれで、大変結構なことだが、疑問を抱いた場合「何故だろう?」と、先ずは人に聞いたり文献を探さずに、自分自身で考えて見ることである! そうすれば、疑問点をはっきりと認識出来るし、答えが自分の考えと違った場合、「な~るほど!」の深さが違ってくる! それでは、 ① 何故網の中央に‘逆さまになって’餌を待っているのか? に関しての‘自分自身の答え’ (a) 蜘蛛自身の‘脳’に血液が十分に行くようにしておけば、網に掛かった獲物へ瞬時に移動出来る! (b) 獲物は、網の中央より下の範囲にひかっかる確率が多いことを経験上(本能的に)知っていて、重力を利用して速く獲物へ! (c) (b)の前半のことが正しいなら、網の下半分が良く見えるように! これじゃあ、網の中央にいることの意味が十分に説明出来ないのだが・・・。 まあ、この辺の答えしか今のところ考え付かない! それでは、本当の理由は? WEBで少しだけ調べてみても、‘池田博明’さんの名前が沢山出てくる! この‘池田博明(Hiroyoshi Ikeda)’さんは、蜘蛛の研究では第一人者の一人だろうと思われる。 『 クモ生理生態事典 』 (池田博明・桑田隆生・新海明編. 1998年初版,2010年7月改訂版) を出版しておられるからだ。 彼の説は以下の通りである!
いやぁ~、驚きである! 蜘蛛についての研究がこれほど進んでいる! この文献から以下のことが判ったが、まだ蜘蛛の生態については、ほんの序の口なのだろう! (1) 網に虫がかかったとき、重力に逆らわずにできるだけ早く移動するためだというのが説明のひとつ (2) 全ての網を張る蜘蛛が、下を向いている訳ではない (3) 一般論としては、頭の方向の網の面積が少し広い (4) 蜘蛛は、獲物が掛かった事を‘目で見ているのではない!’ (5) 目は、ほとんど見えていなくて、獲物の掛かりを‘振動’で感じ取っている
<自分自身が想像した答えとの比較> ‘自分自身の答え’ (a) 蜘蛛自身の‘脳’に血液が十分に行くようにしておけば、網に掛かった獲物へ瞬時に移動出来る! (b) 獲物は、網の中央より下の範囲にひかっかる確率が多いことを経験上(本能的に)知っていて、重力を利用して速く獲物へ! (c) (b)の前半のことが正しいなら、網の下半分が良く見えるように! (a)については、脳に伝わるのは‘視覚’からの情報ではなく、‘振動’だった! (b)については、当たらずとも遠からず、で、まあまあの答え! (c)については、‘視覚’ではなかったことから答えになっていない! と言う訳で、次の写真とコメント ![]() 蜘蛛の目つきが恐ろしい! は全く的外れであることが判った! ‘「聴毛」は脚の背面にあり’、つまり、脚で振動を感じ取っていて、その情報がすぐさま脳に伝わっているという訳! 網が‘獲物を引っ掛けて捕らえるため’だけの役目だけでなく‘引っ掛かったこと’を脳に伝えるための‘伝送路’の役目もしているとは! いやぁ~、勉強になった! 「‘蜘蛛の研究’の研究 」、ますます面白くなりそう!かも? (つづく) スポンサーサイト
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