カブトガニの秘密(その3)
出典/
http://www3.famille.ne.jp/~ochi/kabutogani/2016年5月10日付けの本ブログで、カブトガニの秘密(その2)を掲載した後、肝心の‘青い血液’が人類に貢献している、と述べながら、その説明資料を掲載するのを失念していた!
実は、もうとっくに掲載していたものと思い込んでいたのである!
‘も・う・ろ・く’は、既に始まっている!
さて、その‘青い血液’については、人間等の赤い血液が‘Fe’イオンのためだとは知らていても、‘Cu’イオンのために、‘血液が青い’ことは、余り知られていない!
この今日の本ブログでは触れないが、何故酸素を運搬する血液の重要な役割をする‘イオン’が、‘Fe’だったり、‘Cu’だったりするのだろうか? そしてまた、鉄イオン、銅イオン以外のイオンで酸素を運ぶ血液を持つ動物や昆虫がいるのだろうか?
この課題は、今後調査してみたい!
さて、カブトガニの青い血液が人類に多大な貢献をしている事に関する判り易い‘解説レポート’が見つかったので、全文転載する事にした!
http://karapaia.livedoor.biz/archives/52180526.html
人類の命を救う。カブトガニの青い血を採取工場を訪ねて
2014年12月19日 ι コメント(180) ι 知る ι サイエンス&テクノロジー ι #

2億年以上も前から、その形を変えないまま、現在まで生き続けていることで、生きる化石と言われているカブトガニだが、このカブトガニは人類にとってなくてはならぬ存在なのだという。正確に言えば、カブトガニから採取される青い血液が人類に大いに貢献しているのだ。
カブトガニの青い血液は細菌汚染試験に利用されており、医療の現場で無数の命を救っている。その為に今も、カブトガニは血液採取工場にてその血液が採取されているそうだ。
カブトガニの血液には特筆すべき点が2点ある。1つ目は、体内に酸素を運ぶうえで、ヘモグロビンに含まれる鉄の代わりに銅を利用しており、そのために淡い青色をしていることだ。
そして2つ目は、カブトガニの血液は細菌内毒素と反応するため、汚染があった場合には凝固し、ゲル状の物質となってそれを閉じ込めることである。非常に感度が高く、ppt(1兆分の1)レベルの汚染に対しても反応するほどだ。

凝固反応を起こす化学成分は分離され、LAL試験に利用される。LAL試験は医療機器やワクチンの汚染の有無を確かめる試験で、凝固しなければ、汚染がない証拠になる。
この血液を採取するために、毎年アメリカの東海岸では250,000匹もの生きたカブトガニが捕獲されている。そして、5つある企業のいずれかに輸送され、洗浄された後に採取装置に納められると、30パーセント程度の血液を抜かれる。献血が済んだカブトガニは何度も捕まることのないよう、捕獲された場所から離れた海に還される。この間、数日程度だ。

それでも10~30パーセントはこの処理で死んでしまう。また、ある研究によれば、特にメスのカブトガニへの負荷が高いらしく、血液を採取された場合、産卵場所へ移動する頻度が減り、繁殖数に影響が出ることも明らかとなっている。



LAL試験に利用されるカブトガニ血液抽出物約1リットルの価格は、およそ170万円である。この業界全体では年間58億円ほどだ。米食品医薬品局が1970年にLAL試験を認可するまでは、細菌感染の試験にはウサギが利用されていた。大量のウサギが必要となるのみならず、細菌汚染の証拠となるウサギの反応熱が現れるまでには48時間もかかった。LAL試験ならたったの45分で終了だ。

現在、この凝固剤を人工的に合成しようという試みが進められており、既に”プライオジーン(PryoGene)”という製品が販売されている。短期的にはカブトガニへの影響を抑える可能性があるが、肥料や食用貝漁のエサとしても利用できるため、一時的な気休めにしかならないかもしれない。
<動画は割愛>
NATURE | Crash: A Tale of Two Species | Blue Blood | PBS
via:inhabitat.・原文翻訳:hiroching
お前の血は何色だ?と問われて、青かった場合には人類に貢献してしまうという生きた化石カブトガニ。恐竜が滅んでも生き延びることができたカブトガニには魅力と可能性が満載なのだ。
上記の文献中にもある通り、カブトガニには極めて重要な‘任務’があるのだが、カブトガニ自身にとっては、余り知られたくなかった
機能なのかも知れない!
(つづく)
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