‘ドーパミン’と‘エンドルフィン’(その1):ドーパミン
弊ブログでも‘神経伝達物質’について、何度か書かせて貰ったが、改めて

‘ドーパミン’と‘エンドルフィン’について

もう少し詳しくて判り易い調査をしたいと思った。

それは、これらの神経伝達物質の存在を‘認識’するか、しないかで‘その効果’の質が変わって来そうな気がして来たからである。

人間身体の仕組みは実によく出来ている。まだまだ現時点では‘判らないことだらけ’だそうだが、それらの分野に携わっておられる研究者の方達のご努力で、近々色々な成果が出て来るだろうと期待されている。

我々は、そんなに詳細なところまで機能として備わっていることなど何も意識しないで過ごしている。しかし、死の宣告をされかねないような‘重病’に罹ったりすると、これはもう真剣に考え始める。そうすれば、それが‘ストレス’となって、その病気から抜け出せないという‘巧妙な’仕組みまであるように思えて仕方がない。

我々は普段‘何でこんなに悩まなくてはならないのか?’と疑問を抱きながらも‘死’と直面せざるを得なくなった場合、やはり‘死ぬのは嫌だ!’と思ってしまう。これも本能なのだろう。

ここで言う‘本能’も、多分過去から引き継いだ‘DNA’のなせる業であることも承知はしているものの、その本質まではなかなか辿りつかない。


先ずは‘ドーパミン’の働きについて

ドーパミンの働きを理解するためには、‘ノルアドレナリン’及び‘セロトニン’の働きとの対比で理解した方が良い。

ドーパミン・ノルアドレナリン・セロトニンの役割

http://www.fujixerox.co.jp/support/xdirect/magazine/rp1009/10091a.html

4-1.「落ち込まない」=ドーパミン 勉強を楽しくする

茂木健一郎先生『脳を活かす勉強法』(PHP研究所,2007)でもおなじみの、ドーパミンです。ドーパミンは、快感の物質とされていて、活動が過剰に活発ですと幻覚まで生じさせる物質です。
勉強も最初はつらいものです。英熟語が頭に入らない、勉強がなかなかはかどらず苦しい、などなど。最初は試行錯誤の繰り返しです。しかし、努力のおかげで少しは点数が上がってきたとわかると、脳の側座核などの「報酬系」が働いて、ドーパミンが活発になります。そして、勉強が快楽と結びつき、ますます勉強したくなる。これが、茂木先生の「強化学習」理論です。

「苦」を通り越すと「楽」になるというシステムで、これを知っておくと最初の苦痛も「最初は仕方ない」と割り切ることができます。うまくいかないことがあっても、「楽」の力で「落ち込まない」ようになってきます。さらにドーパミンには重要な役割があります。「プラセボ」効果です。
「プラセボ」は、偽薬のことです。かかりつけの信用している医者から「よく効く睡眠薬ですよ」と言われて、偽のビタミン剤を渡されて飲んでも、本当に効いてしまう。逆に信用していない医者からの薬は、なにを飲んでも効いた気がしない。「逆プラセボ」効果もあります。精神科は患者さんとの相性が特に重要な科なので、このプラセボ効果は、特に重視しています。
「この目的、方法でいく!」という信念、「この方法であの人も成功した」という客観性があれば、プラセボ効果がプラスに働いてきます。自分の勉強目的や勉強法に疑念が生じてくると、「逆プラセボ効果」が出てきてしまいます。そうならないためにも、1章の「何のために?」が、重要なのです。

4-2.「やる気」=ノルアドレナリン 意欲を高める

「どうも今日はやる気がないなぁ」という時も、人間ならばだれしもあるはずです。こういうときは、注意力も散漫になります。やる気や注意・判断力は、ノルアドレナリンが関与していると言われています。
アドレナリンというと、興奮したときに活発になるイメージですが、ノルアドレナリンも同じように働きます。刺激に対して、「Fight or Flight」いわゆる「闘争か恐怖」かという反応を起こさせ、交感神経を刺激します。前から苦手な上司が近づいてくる、あいさつして正々堂々向き合うか、そのままスルーして逃げちゃうか、とにかくドキドキしてきた。そういう状況のときに活発になる、ストレスホルモンです。
ノルアドレナリンも、注意集中、意欲それに記憶に関係していることがわかってきています。緊張感なくダラダラやっていると学習効率が良くないのは、ノルアドレナリンが機能していないせいだと考えられます。

ノルアドレナリンを脳に出させるには、3つ方法があります。一つの方法は、「デッドライン効果」です。締め切りを設けてしまえば、緊張感がいやおうなしに生まれます。はっきりした締め切りがないときには、他人に公言してしまいましょう。「いつまでに○×を仕上げる」など。
二つ目の方法は、難しい問題に手こずるなど、「苦い経験」をすることです。インプットばかりの勉強ですと、どうしても「なんで憶えていないんだ!」という屈辱的な経験ができません。この悔しい感覚が、ノルアドレナリンを活性化します。アウトプットの重要性が叫ばれますが、この感覚は重要です。読むだけでなく、問題を解く、知らない人に説明する。失敗すれば恥をかいたりしますが、それを「強化学習」へのエネルギーに転換していけばいいのです。
最後は、整理整頓。机の上が乱雑では、注意集中を妨げます。ちょっとした内容を一時的に記憶しておく「ワーキングメモリー」という、パソコンのクリップボードのような脳の機能があります。これも物の整理ができていないとそちらにメモリを取られてしまい、「あれ、そんなこと聞いたっけ?」というミスも増えてしまいます。常に整理整頓をこころがける態度は、重要です。少しスランプかなと思ったら、デスクの上やカバン、パソコンの中身の整理をしてみましょう。

4-3.「不安」=セロトニン 不安、心配を逆に利用する

セロトニンは、不安や「気分が沈むなぁ」という抑うつ気分に関わっている神経伝達物質です。セロトニンの活動が減ってくると、不安が強くなり、抑うつ的になってきます。現在の抗うつ薬の主流であるSSRI(セロトニン再吸収阻害薬)は、神経のセロトニン濃度を高める作用があります。

仕事や家庭、友人、恋愛などの悩みごとがいつも頭に浮かんで、ほかのことがなかなか手がつかない。こんな状態では、勉強どころではありません。『TOEICテスト900点 TOEFL250点への王道』(杉村太郎,ダイヤモンド社, 2001)に、いい文章があります。「安定した精神状態が極めて重要である。ストレスがたまって悩んでいる状態、仕事やプライベートで不安を抱えている状態では暗記の脳みそは働かない。(中略)まず悩みの種をなくすか、考え方を変えて気分を切り替えることに時間を注ごう」の一節が、ゴシックで強調されています。精神科医としてもその通りだと思います。まずは、悩みごとというストレスを弱めることをしてみましょう。

友人に話してみるのも、ありきたりですが有効な方法です。他人に話すことで、自分の気持ちが再確認できます。他人が魔法のような解決法を伝授してくれるわけではありませんが、話すことは発散効果もあります。聞き上手な友人がいれば、言うことはありません。日々のイヤなこととそのときの自分の気持ちを1,2行書き留めていくのも、効果的です。大切なのは、後から見返してポジティヴになれるような内容を入れましょう。「部長に怒られたけど、あとで感謝するかもしれない」など。中傷は入れず、感謝の念の入れるのがよいとされています。Twitterなどで軽くグチるのもいいでしょう、わたしもたまにやっています。

さて、不安を勉強に逆利用することも可能です。原稿でもそうですが、締め切りギリギリにならないと手をつけないという経験は、だれしもあるはず。勉強も、本は買ったけどなかなか始められない。この「始める壁」を破るには、セロトニンの不安を使います。とにかく、「1ページだけ」始めてみるのです。実際に手を少しでもつけると、「やらないとまずいな」という不安が、頭に残ります。「やらないと落ち着かない」という感覚が生じてくるのです。のんびり屋のひとは、この不安とセロトニンの知識を持っておくといいと思います。


これで、‘ドーパミン’の機能は大凡把握出来たが、まだ‘イメージ’が今一判りにくい。
もう少し具体的なというか卑近な例えで‘ドーパミン’を解説している資料がこれである。
 

http://www.org-chem.org/yuuki/world/dopamine.html
☆ドーパミン ~文明を創った物質~

 宇宙に生命はいるのか?これは人類の好奇心をそそる永遠のテーマだ。今のところ、他の惑星に我々の遠い友人が住んでいることを示す直接の証拠は何もない。が、「『いる』と考える他はない」と主張する科学者は少なくない。

 この論拠の一つは、地球に生命が現れた時期だ。生命の誕生は約38億年前と考えられているが、これはようやく原始地球への隕石衝突が静まり、地表が固 まってきた時期だ。要するに生命は条件が整うやいなやあっという間に登場しているわけで、生命の誕生はそう特別なことではない、むしろ条件を満たす惑星上 でなら必然的に起こることと考える根拠がある。
 が、我々人類と同じように知性を備え、文明を築くような種族がいるかとなると、こちらは悲観的な意見が多い。例えば「眼」や「社会生活を営む昆虫」は、 生命史の中で独立に10回以上発生しているとされるが、知性や文明はこの38億年間でどうやらただ一度しか発生していない。生命史の中で「文明」の登場 は、光合成のシステムや多細胞生物の発生と同じか、それを上回るほど特別なイヴェントと考えてもさほどの無理はないだろう。

 文明の発生をたったひとつの化合物で語るのはもちろん無理だろうが、あえて代表をひとつだけ挙げるならこのドーパミンではないだろうか。図のように比較的単純な構造なが ら、脳内で伝達物質として極めて重要な役割を果たす。何よりこの化合物は「脳内麻薬」として知られ、人が爽快感・感動を覚えた時に脳内で放出されることが知られている。スポーツや音楽などに強く感動した時に、脳内 でこのドーパミンが放出されることが実証されている。人間のあらゆる行動は、この「快感物質」の放出を求めて起こると言っても決して過言ではない。

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dopamine

 ドーパミン系が故障すると、様々な障害が起こることが知られている。マイケル・J・フォックスやモハメド・アリが罹患したことで知られるパーキンソン病 は、ドーパミンを放出する細胞が変性することによって起こる。この病気にかかると、何かを自発的に行おうという意欲が著しく低下する。また逆にドーパミンが出過ぎると幻覚や妄想などにつながるなど、ドーパミン系の不調による精神疾患は数多い。この化合物が人間の意欲・行動と深く関わっていることが、これらの事実からも知れる。

 このようなことから、ドーパミンは文化史とも深く関連している。例えばモーツァルトの名曲の数々は、ドーパミンの不足から生まれたのではないかとする説が ある。映画「アマデウス」で描かれたように、モーツァルトは生涯にわたって奇行が目立ち、今でいうADHD(多動性障害)だったのではないか、また晩年に は強迫妄想に囚われていたのではないかとも言われている。彼はこれらの症状を抑えるために自らドーパミンの放出をうながす曲を書き、それが後世の人々を感動させる名曲として遺っているのではないか――というものだ。

 ドーパミンが感動物質であることを思えば、これはありえそうな話ではある。19世紀末、統合失調症と診断された「バイエルンの狂王」ルートヴィヒ2世が、国家の年間予算の1割をつぎ込むほどにワーグナーの音楽に傾倒したというのも、あるいはこれと同断であるかもしれない。

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ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756~1791)

 ドーパミンが分泌されることで快楽を感じるのは何も人間だけでなく、動物も同じであることが実証されている。しかし人間が彼らと異なるのは、単に食欲や性 衝動を満たすといったことではなく、新しいものを見つけた時、優れた芸術を見た時などにもドーパミンが放出される点だ。つまり、人間だけが「感動する能 力」を持っている。

 コロンブスが海の彼方に新しい大地を見出した時、ニュートンが落ちるリンゴを見て万有引力の法則を思いついた時、ジョン・レノンの脳裏に「イマジン」のメロディが浮かんだ時、ニール・アームストロングが月面に人類初の一歩を踏み出した時、彼らの脳内にはドーパミンが溢れるように分泌されていたはずだ。もちろん裏庭に美しく咲いた野の花を見つけた時にも、初めて作った料理が美味しく出来上がった時にだって「感動物質」は出ている。人が何かを始める時、何かを発見する時、何かを創り出す時、そこにはいつもドーパミンが介在している。

 スポーツ選手やミュージシャンが、直接社会の役に立つものを生み出しているわけではないのに高い報酬を得ているのは、彼らが社会を進歩させるエネルギーで ある、「感動」を供給する役回りを背負っているからだろう。人間が文化的行動によって脳内麻薬を放出するようになった時――、別の言い方をすれば、人間が 感動する能力を獲得した時に、全ての進歩が始まったのではないだろうか。あるいはドーパミンは、人間を他の動物から区別し、ホモ・サピエンス(知恵あるヒ ト)ならしめている化合物といってよいかもしれない。


 「感動することをやめた人は、生きていないのと同じことである」(アルベルト・アインシュタイン)


参考文献:モーツァルトが求め続けた「脳内物質」 (須藤伝悦著 講談社)
       遺伝子が明かす脳と心のからくり―東京大学超人気講義録(石浦章一著 羊土社)
       感動する脳(茂木健一郎著 PHP研究所)


ここまで引用文献を調べると‘ドーパミン’の外観が判ったような気になってきた

しかし、まだ今一である。なぜ‘ドーパミン’という複雑な構造を持つ化学物質である‘神経伝達物質’が合成されるのか?などなど判然としないことがまだ多過ぎる。

ただし、一日のブログの中で、これらについて延々と解説が続けば、読まされる方としては見ただけでうんざりとする程の‘長さ’になってしまい、逆に‘ドーパミン’を出さない方向に陥ってしまって、二度と‘こんな長ったらしいブログ’なんて見たくもない、と思われがちであるので、続きは次回へ・・・。

(つづく)













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[2012/11/25 02:11] | サイエンス | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
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