南鳥島沖の‘レアアースメタル’と太平洋の‘マンガンノジュール’
南鳥島沖の‘レアアースメタル’が大きな話題として取り上げられている。

南鳥島
http://omoixtukiritekitou.blog79.fc2.com/blog-entry-763.html
南鳥島の位置

太平洋のレアアース泥が日本を救う (PHP新書) [新書]
http://www.amazon.co.jp/dp/4569806414/ref=cm_sw_r_fa_dp_Vkw9pb0DS3719

この話題は、今年の夏大きな反響を呼んだのだが、今の時期に再びマスコミが目を付けたのは、

http://egeo1.geosys.t.u-tokyo.ac.jp/kato/
7月14日に加藤泰浩教授の著書「太平洋のレアアース泥が日本を救う」がPHP新書から発売されます! (2012年7月12日)


という事実があって、これを‘尖閣問題’を論じる際に石原都知事が‘引き合い’に出して、物議を醸したこと及び今度の総選挙における国際問題としての‘資源確保’の例として‘日本維新の会’がこのことを掲げるかもしれないとの情報でマスコミが動き始めたことによるのだろう。

その情報とは?

http://egeo1.geosys.t.u-tokyo.ac.jp/kato/加藤泰浩教授らの研究チームによって日本の排他的経済水域(EEZ)内にレアアース泥が存在していることが発見されました.本研究成果はNHKや読売新聞などの各メディアで広く報道されました (2011年6月28日)


この加藤泰浩研究室のHPの日付けの記述が明らかに間違っている。(2012年6月28日)が正しい!

http://www.j-cast.com/2012/06/29137676.html?p=all
南鳥島でレアアース発見 日本は資源大国になれるのか
2012/6/29 20:16

東京大学大学院の加藤泰浩教授(地球資源学)らの研究グループが、LED照明や液晶テレビなどの部品に使われる「レアアース」(希少土)を豊富に含む泥を、日本の最東端の南鳥島(東京都小笠原村)周辺の海底で発見した。加藤教授らが2012年6月28日、資源地質学会で発表した。

日本の排他的経済水域(EEZ)で大規模なレアアースの鉱床が明らかになったのは初めてで、EEZ内であれば自国の資源として開発できるため、早くも大きな期待が寄せられている。

日本の年間消費量の220倍以上が埋もれている

加藤教授らは、国際共同研究などで採取された南鳥島周辺のEEZ内の海底堆積物のボーリング試料を分析した結果、南鳥島の南西約300キロメートル、水深約5600メートルの海底の泥に最大約1700ppm、平均約1100ppmの高濃度でレアアースが含まれることを突きとめた。

「レアアースを含む泥の厚さは、現在確認できるものとして10メートルほど」(加藤研究室)あり、濃度や層の厚みなどから推定されるレアアースの埋蔵量は約680万トンで、日本が1年間に消費するレアアース(約3万トン)の「約220年分が見込める」という。

また、南鳥島の180キロメートル北にも1000ppmを超える濃度の泥を見つけている。
加藤研究室は、レアアースはハイブリッド車のモーターに使われる「ジスプロシウム」や、液晶テレビに使われる「テルビウム」などに「とくに富んでいますし、他のレアアースも含まれています」と話している。
とはいえ、課題もある。レアアースが見つかったのは水深5600メートルの海底だ。これまでの実績ではドイツの鉱山会社が水深2000メートルから採掘した例があるというが、「この採掘も「紅海での泥のような形状をした硫化物泥で、レアアース泥ではない」と話す。

ただ、加藤研究室と共同開発してきた三井海洋開発と三井物産でも、技術開発は十分可能とみている、という。
「日本が価格の調整弁を握ることができる」かもしれない
「レアアース」の生産量は中国が97%を占めているとされる。日本はその最大の輸入国だ。半導体やバッテリーの電極など、さまざまな電子部品に使用され、ハイテク素材に少量添加するだけで性能が飛躍的に向上するだけに、レアアースは欠かせない。

2010年、中国が環境保護などを理由に輸出量を前年より40%減少させたことや、尖閣諸島沖で起きた中国漁船の衝突事件のあと、輸入が滞ったことなどから、日本企業に強い懸念が広がったことは記憶に新しい。
このため、日本では中国以外のレアアースの調達先を探す動きが進んでいて、11年3月にはオーストラリアで大規模な鉱山の採掘権を獲得したほか、12年5月にはカザフスタンとも協力関係を強化することで合意している。
この鉱床からレアアースが採掘できるようになれば、日本は中国からの輸入に頼る必要はなくなるのだろうか――。
「現在のところ、すべてを自給する必要はないと考えています。日本が年間消費量の10%でも自給できれば、中国が値段を上げたときは『国産レアアース』を安く買えばいいし、われわれのプロジェクトを潰そうとしてレアアース価格を一時的に下げてきたときは『国産レアアース』は高く買うことになりますが、残りの90%は安く買えることになります。このように少しでも自給することで、日本が価格の調整弁を握ることができるということが重要です」(加藤研究室)


isihara.jpg枝野幸男経産相
石原慎太郎氏                    枝野経産相

http://www.sankeibiz.jp/compliance/news/121026/cpd1210261337004-n1.htm
石原都知事の“レアアース妨害”発言に枝野経産相が苦言
2012.10.26 13:32

 枝野幸男経済産業相は26日の閣議後会見で、東京都の石原慎太郎知事が25日に開いた辞職会見で「『経産省が小笠原諸島・南鳥島近海のレアアース(希土類)開発を許さなかった』という趣旨の発言があったが、これは事実を正確に把握していないのでは」と苦言を呈した。

 南鳥島近海の海底資源開発をめぐっては、東京大などの研究グループが今年6月、レアアースを含む鉱床を発見したと公表した。

 枝野経産相は「探査の申請を止めるなど研究を妨害した事実はなく、むしろ研究に一部支援を行っている」と反論した。


さて、東大・加藤教授の言うような「レアアースメタル」が計算通りに本当に上手く採算の合うような採掘が可能なのだろうか?

1970年代に、大騒ぎになった‘マンガンノジュール’は、未だに採掘がされる事態にはなっていない。
多分数十億ドルの費用を掛けて世界中が躍起となって採掘のための技術的アプローチをしたが、結局は‘コスト高’という理由で棚上げになっている。日本も相当な努力をしたらしいが、現状ではその資源確保は未だになされていない。

われわれ‘金属材料’を専門として働いていた者にとっては、その採掘法についてもいくつかのアイディアを出さされたり、解説を頼まれたりしたものだが、結局は海底6,000mという途方もない距離と重圧とが安易な採掘方法を拒否する形となって経済ベースには乗らなかったのである。

さて、それから30~40年の時間が経過しているのだが、その分野の技術的進歩はどうなっているのであろうか?

改めて‘マンガンノジュール’について‘WEB’で調査して見ると現状は以下の通りという。
結論は以下のように解説されている。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%83%B
3%E3%82%AC%E3%83%B3%E5%9B%A3%E5%A1%8A

鉱山開発会社Kennecott Copperは、マンガンノジュールの採掘によって得られる潜在的利益を調査したが、それによると採掘はコストに見合わないことが明らかになった。環境問題と利益が分配されなくてはならないことの他に、マンガンノジュールを海底から採取する安価な方法がないためである。
そのうちに、ノジュールの採掘への興味は薄れていった。これは主に三つの原因によって説明されるだろう。

① 5000mもの深海からノジュールを取り出し、海上まで輸送する経済的な方法を開発、運用するためには困難や支出が伴うこと。
② 高い採掘税が国際的に課せられるであろうこと。
③ 今もって、重要な鉱物が陸上の鉱山から市場価格で提供されていること。

こうした理由から、マンガンのジュールが数十年のうちに商業的採掘が始まるとは考えられていない。



1970年代に騒がれた‘マンガンノジュール’について

マンガンノジュール
http://www.nistep.go.jp/achiev/ftx/jpn/stfc/
stt079j/0710_03_featurearticles/0710fa02/200710_fa02.html

マンガンノジュールの分布予想図

マンガン
http://www.h3.dion.ne.jp/~kuikui/prof.3.htm
採取されたマンガンノジュール

マンガンノジュールが海底に分布する様子
http://kissyarita.blog.fc2.com/blog-entry-98.html
マンガンノジュールが海底に分布する様子

マンガンノジュール生成過程予想図ー2
http://kissyarita.blog.fc2.com/blog-entry-98.html
マンガンノジュールの生成過程予想図

マンガンノジュールの生成(予想)
http://kissyarita.blog.fc2.com/blog-entry-98.html
マンガンノジュールの生成予想図

hakurei.jpg
http://kissyarita.blog.fc2.com/blog-entry-98.html
海洋資源調査船・白嶺

弊ブログでも今年3月27日・「白嶺とマンガンノジュール」( http://kissyarita.blog.fc2.com/blog-entry-98.html )で取り上げ解説をしたので、そちらをご参照あれ。

願わくは、南鳥島沖海底の「レアアースメタル」が、マンガンノジュールの二の舞にならないことを!

(つづく)













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