椿の花は、何故丸ごと落ちる?
「椿と山茶花の見分け方」が話題になった。‘その違い(見分け方)’が強調される意味あいが良く理解出来なかった。何故なら、椿と山茶花は全く違うものと思っていたから、「何故、そんな違い(見分け方)が話題になるのだろう?」と思ったからである。

でも、よ~く物事を知っている人には、この質問は‘誠に妥当’な質問なのである。

実は、山茶花は、「サザンカ(山茶花、学名:Camellia sasanqua)は、ツバキ科の常緑広葉樹。」で、植物学上の分類では、‘ツバキ科’なのである。

私が不思議に思ったのは、山茶花は、ツバキ科とは思わなかったからである。山茶花は全く違う‘サザンカ科’かと思っていたからであるが、実際には‘サザンカ科’は無いのである!

tubaki
http://oki-park.jp/midori/midoridayori/2009/02/post-43.html
ツバキ

sazannka.jpg
http://blog.livedoor.jp/hanahana1209/tag/%E3%82%B5%E3%82%B6%E3%83%B3%E3%82%AB
サザンカ


文献によれば、次のように解説してある。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%84%E3%83%90%E3%82%AD
ツバキとサザンカとの見分け方 [編集]

ツバキ(狭義のツバキ。ヤブツバキ)とサザンカはよく似ているが、次のことに着目すると見分けることができる(原種は見分けやすいが、園芸品種は多様性に富むので見分けにくい場合がある)。

ツバキは花弁が個々に散るのではなく萼と雌しべだけを木に残して丸ごと落ちるが(花弁がばらばらに散る園芸品種もある)、サザンカは花びらが個々に散る。このためツバキは、見舞いの時には贈ってはならないといわれる。(死を連想させるため)

② ツバキは雄しべの花糸が下半分くらいくっついているが、サザンカは花糸がくっつかない。

ツバキは、花は完全には平開しない(カップ状のことも多い)。サザンカは、ほとんど完全に平開する。

④ ツバキの子房には毛がないが(ワビスケには子房に毛があるものもある)、サザンカ(カンツバキ・ハルサザンカを含む)の子房には毛がある

⑤ ツバキは葉柄に毛が生えない(ユキツバキの葉柄には毛がある)。サザンカは葉柄に毛が生える。

ツバキ サザンカ(カンツバキ)
左:ツバキ 右:サザンカ(カンツバキ)


上の引用文献には、サザンカの代表として‘カンツバキ’が例として挙げられている。

http://www.kagiken.co.jp/new/kojimachi/hana-kantsubaki_large.html
カンツバキ(寒椿) は、 ツバキ(椿)  と  サザンカ(山茶花)  の交雑種とされるツバキ目ツバキ科ツバキ属の常緑中低木です。 花弁と雄蕊が合着している椿の特徴、花弁が一枚ずつ散る山茶花の特徴、性質を合わせ持ちます。 冬の代表的な花木であり八重咲きの薄紅花が代表ですが、赤や白、桃色の一重や八重咲きもあります。 葉は暗緑色で小さな槍形をしており葉縁に鋭い鋸歯があります。 常緑で、横に広がりやすく、刈り込みに強い性質なので、庭木や垣根に使われます。
■関連ページ
カンツバキ(寒椿)  11月の花木(プラザ元加賀、2011年11月5日)  2月の花(2009年)  カ行の花図鑑  樹木図鑑  花暦2009年  花暦 

一般名:カンツバキ(寒椿)
学名:Camellia hiemalis Nakai(カメリア・ヒエマリス・ナカイ)
分類名:植物界被子植物門双子葉植物綱ツバキ目ツバキ科ツバキ属
原産地:日本固有種
樹高:1~3m 開花期:11~2月  花径:5~7cm  花色:淡紅の八重咲き、赤・白・桃の一重~八重咲き  葉色:暗緑色 葉形:槍形 葉縁:鋭い鋸歯 


では、ここで、ツバキとサザンカの‘植物学上の分類を・・・。
<ツバキ>

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%84%E3%83%90%E3%82%AD
ツバキ(椿・海柘榴)は、ツバキ科ツバキ属の1種。学名 Camellia japonica であり、日本原産の常緑樹。野生種の標準和名はヤブツバキ。国内外でヤブツバキや近縁のユキツバキから作り出された数々の園芸品種、ワビスケ、中国・ベトナム産の原種や園芸品種などを総称的に「椿」と呼ぶが、同じツバキ属であってもサザンカを椿と呼ぶことはあまりない。
照葉樹林の代表的な樹木。花期は冬から春にかけてにまたがり、早咲きのものは冬さなかに咲く。「花椿」は春の季語であるが、「寒椿」「冬椿」は冬の季語。


<サザンカ>

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B5%E3%82%B6%E3%83%B3%E3%82%AB
サザンカ(山茶花、学名:Camellia sasanqua)は、ツバキ科の常緑広葉樹。



この文献引用で解ったことは、上記の通り、学名におなじ‘Camellia’が付いていることである。当然であるが・・・。つまり、‘ツバキ科’なのであるから。

ツバキ: Camellia japonica

サザンカ:Camellia sasanqua

つまり、‘ツバキ科’の‘japonica’をツバキ(椿)といい、‘ツバキ科’の‘sasanqua’をサザンカ(山茶花)と呼ぶ、という訳である!

そして、丸ごと花を落とすのが‘ツバキ’であることも区別の一つであることが判ったが、それでは、何故‘丸ごと’花をツバキは落とすのか?の理由が知りたい!

以下が、‘ツバキ(椿)の花は何故、丸ごと落ちるのか?’についての文献の引用である。

http://shub.blog83.fc2.com/blog-entry-90.html
椿の花はなぜボトッと丸ごと落ちるのか?
隣の家に、すんごくでっかい花をつける椿の木があって、初夏に入る今日この頃、よくボトッと落ちてきます。

椿の花が、ボトッと落ちるのは、切腹した際、介錯されて首がボトッと落ちる様に似ているので、武家の世界では、縁起が悪いものとされて好まれなかった、というのをどこかで聞きかじりました(でも「椿三十郎」には象徴的に咲いているよなw)。

(中略)

これ、花弁から、たくさんのおしべに至るまで、1枚、全部つながっているのですね!!
真ん中のめしべから、ずるっと全体が抜けるために、丸ごとボトッと落ちると…


よくみると何とも奇妙な花をしています。ちょっと薄気味悪いですね、よく考えると。蘭?みたいな奇妙な感じ…?
これでは…椿では、「好き嫌い」花びらを1枚ずつ抜いていく占いが…できない!!!(別の見方をすると「好き」ですべてが終わるから、いいかもしれませんがww)



別の文献では、もう少し突っ込んで・・・・。

http://www.jspp.org/cgi-bin/17hiroba/question
_search.cgi?stage=temp_search_ques_detail&an_id=214&category=mokuji

:質問:ヤブツバキについて 登録番号: 0208
2005-02-02
素晴らしいサイトにめぐり合ったと感謝しています。
2つ質問があります。よろしくお願いします。

1.ヤブツバキは離弁花に入っていると思います。花弁を良く見ると基部で合着していると思います。
単純に花弁の一部または全部が合着しているのを合弁花と理解しています。合弁花に入れないのはどうしてでしょうか?

2.合弁花と離弁花の定義を教えてください。

お忙しいのに申し訳ありません。よろしくお願いします。

国徳大也

:回答:
国徳 大也さま

 なかなか鋭いご指摘です.
合弁花と離弁花という表現は,図鑑の合弁花植物亜綱と離弁花植物亜綱という分類のことを言われているのでしょう.分類と区別するため,花弁の付き方を指す場合は,合弁と離弁とします.この表現でご質問を書き換えると,

1.ヤブツバキは離弁花植物亜綱に分類されているが,花弁は基部で合着している.花弁の一部または全部が合着している花を持つ植物は合弁花植物亜綱に入れると理解しているが,ヤブツバキが合弁花植物亜綱に分類されないのはなぜ?

2.合弁花植物亜綱と離弁花植物亜綱の定義,あるいは,合弁と離弁の区別の仕方は?

簡単にお答えするなら,
 花の進化は離弁から合弁という方向に起こっており,中間段階があるため両者を明確に区別することはできません.合弁花植物亜綱と離弁花植物亜綱という分類は,系統関係を反映していません.実際には,離弁花植物亜綱の一部の植物群から,合弁花植物亜綱の一部の植物群が分化したと考えられます.最新の情報では,ツバキ科は合弁のハイノキ科などの祖先群といわれています.ヤブツバキの花弁は,離弁から合弁になりつつある中間段階かもしれません.

長くなりますが,もっと詳しい説明を致します.

<ツバキの話し>
 ツバキは花がおわると雌しべとガクを残して全体が落ちます.この落ち方は合弁花植物亜綱のカキノキやツツジとよく似ています.しかし,同じツバキ科のサザンカでは,花びらがはらはらと散ります.雄しべを見ると,ツバキではまるで茶道の茶筅のように根元の部分が合着しています.しかし,サザンカでは雄しべの根元は互いについたり,離れたり,中途半端な状態です.
 ツバキの花では,雄しべの筒が花弁を裏打ちして花弁がはずれにくい構造になっています.同じような状態はフヨウ(アオイ科:離弁花植物亜綱)にもみられます.一方,合弁花植物亜綱のツツジ科の花弁には,ドウダンツツジのように筒状のもの,サツキのように漏斗状に広がって先が5つに切れているもの,ホツツジやアクシバのように根本で離れているものがあります.
 このように,図鑑では合弁花植物亜綱と離弁花植物亜綱に科を分けています
が,同じ科でも離弁や合弁状態の種がそれぞれ見られます.なお,平凡社の図鑑「日本の野生植物」のツバキ科全体の花弁の説明には”下部は多少とも合着し”と記されています.

<図鑑と系統分類>
 20世紀初め,ドイツの植物学者エングラーは無花被,単花被,離弁花,合弁花の順に植物が進化したとして分類体系をつくりました.日本の図鑑は,これを少し修正した新エングラーの分類体系に基づいて科が並べられています.ツバキ科は,ビワモドキ科,ボタン科,フタバガキ科,マタタビ科やオトギリソウ科とともに離弁花植物亜綱のオトギリソウ目にまとめられています.
 その後,クロンキストが新しい分類体系を発表しました.彼は合弁と離弁という分け方ではなく,雌しべの形質を重視して亜綱を区分しました.ツバキ科はフタバガキ科,マタタビ科,オトギリソウ科などと共にツバキ目にまとめられました.さらに,ツバキ目と離弁のアオイ目やスミレ目,合弁のツツジ目,カキノキ目,サクラソウ目などがビワモドキ亜綱にまとめられています.

 エングラーとクロンキストの分類体系は以下のサイトをご覧ください.
http://ginkgo.bg.s.u-tokyo.ac.jp/bgplants/ylist_system.html

 1990年頃から分子生物学的手法が分類学にとりいれられました.これは生物に普遍的に存在する特定の遺伝子の塩基配列を使って,配列の類似性より系統樹を作製する方法です.この系統樹をもとにAPG分類体系が発表されています.最新のデータはhttp://www.mobot.org/MOBOT/Research/APweb/のサイト(英語)です.

 これによると,ツバキ科(学名:Theaceae)に近いのは合弁のハイノキ科です.APG分類体系では,ツバキ科は離弁のマタタビ科と合弁のカキノキ科,ツツジ科,サクラソウ科,エゴノキ科,ハイノキ科などともにツツジ目に分類されています.日本語のグループ名はまだできていませんが,ツツジ目はミズキ
目.EUASTERIDS I(リンドウ目,シソ目,ナス目など),EUASTERIDS II(セリ目,モチノキ目,キク目など)とともにASTERIDSに分類されています.
 紀元前にはじまった植物分類学は,バイオテクノロジーの恩恵をうけて急速に進み,古くて新しい分野です.いつか最新情報をもとに図鑑も書きかえられるでしょう.しかし,目の前の植物の名前が知りたいとき,木本と草本,単子葉と双子葉,合弁と離弁に分けてある図鑑の方がずっと使いやすそうです.

<合着の話>
 被子植物の花では,離生した雌しべや花弁が合生するという進化の方向性が見られます.これは,脊椎動物の手が鰭状のものから,水かきが後からなくなって,複雑な動きをする指が進化したのとは全く逆方向です.移動能力を持たない被子植物では,遺伝的に異なる他の個体から花粉を手に入れる(他家受精)ために工夫してきました.例えば,離生した花弁が互いに合着して花の筒を作り,花粉を運ぶ虫たちを魅惑するさまざまな形が分化しています.

 虫の少ない冬に咲く椿や山茶花.

 ヒヨドリが飛んできて,赤い椿の花壺から蜜を吸っていたかと思うと,次は山茶花に留まって花びらを一枚ずつちぎって食べ.もしかすると椿と山茶花は,鳥に花粉を運んでもらうため,花びらの付き方をそれぞれ工夫しているのかもしれません.

 小菅 桂子(神戸大学)
2009-07-03
神戸大学
小菅 桂子


いや~、一寸専門過ぎて解りづらいところも・・・。

次回は、もっと‘解説図’入りで解り易く・・・。

(つづく)
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