超はっ水性(その1):ロータス効果
2013年05月12日(日)は母の日である。久し振りに朝方少しではあったが‘雨’が降った。土砂降りではなかったし、‘霧雨’に近い降り方だったために、上手い具合に‘植物の花弁や葉っぱ’に‘露’が溜まって美しい光景が観察出来た!

そう、もう20年数年も前に‘超はっ水性材料’の開発に携わったことがある。

p4001.jpg
http://keytech.ntt-at.co.jp/environ/prd_4001.html

素材に超はっ水性を持たせる方法は、次の2つに大別出来る。

<1> 超はっ水材料をコーティングする方法

<2> 素材の表面に適切な大きさの凹凸を持たせる方法

<1>の方法は、言わば‘化学的’方法であり、<2>は‘物理的’方法である。

<‘はっ水’性>とは、ご存じの通り、<‘水をはじく’効果を持つ性質>のことであり、例えばレインコートや傘生地の表面加工に利用されたりしている。

この効果のことを英語では‘Lotus effect’という。‘Lotus’とは、ハス(蓮)のことであるが、‘Lotus effect’のことを日本語では‘ハス効果’とは 言わずに‘ロータス効果’という。

では、ハスは何故この効果を‘葉っぱ’に持たせているのだろうか?

http://teishoin.net/blog/003863.html

蓮は仏教を象徴する植物として珍重されます。

蓮は泥より出でて泥に染まらず

・・・蓮は泥の中で育ち、清らかな花を咲かせます。煩悩に満ち溢れ昏迷の中にある清浄の象徴とされる所以です。
花だけでなく、葉も泥中にあって、常に美しさを保っています。
植物は自分では自ら動いて汚れを拭い去ることが出来ないため、清浄を保つ様々な工夫をしています。

その工夫の一つが葉や花の表面に施されている微細構造です。

さらに表面の化学的な特性とが相俟って、降った雨は真ん丸な水滴となります。
水滴が花や葉の上で汚れを絡め取りながら転がっていくことにより表面を綺麗に掃除していくのです。


lotuseffect-19ea4.gif
http://nano.willfair.com/article/122285548.html

img_1034166_25951038_1.jpg
http://blogs.yahoo.co.jp/fsbrg265/25951038.html

img_1034166_25951038_2.jpg
http://blogs.yahoo.co.jp/fsbrg265/25951038.html

image_01-thumb-358x275-1940.jpg
http://www.kek.jp/ja/NewsRoom/Highlights/20120731170000/

我々が開発をしようとしたのは、<‘通信用のアンテナ’の表面に‘雪’を積もらせないこと > という大命題を解決するためであった。アンテナの表面に‘雪’が積ると雪が電波を吸収して通信障害が発生すのである。

この解決のためには、

   <2> 素材の表面に適切な大きさの凹凸を持たせる方法

では、難しいことが判っていたから、

   <1> 超はっ水材料をコーティングする方法

を取らざるを得なかった。この<1>の方法については、化学的方法であるため、厳密な表現をするなら‘ロータス効果’ではない。つまり、ハスの葉が産み出すはっ水性の原理とは異なるのである。

この方法については、後日またこのブログに記事として掲載する積りである。

p40018_1.gif
http://keytech.ntt-at.co.jp/environ/prd_40018.html


今回は、植物の葉っぱや花ビラが持つ‘はっ水性’について考えてみたい。

冒頭に紹介した通り、母の日には、上手い具合に‘はっ水性’を示す写真が撮れた!

画像ー131 042-3

画像ー131 046-3

画像ー131 055-2

画像ー131 011-3

画像ー131 064-3

画像ー131 071-2

画像ー131 069-2


この‘ロータス効果’のメカニズム については色々なところで研究がなされている。

http://www.osaka-gu.ac.jp/php/nakagawa/TRIZ/jpapers/2002Pape
rs/VincentETRIA020321/VincentETRIA020321.html

クリーニングの効果の一つに, 「蓮の葉効果」がある (いままでに, いくつかの植物の葉と昆虫の翅で見いだされている - http://www.botanik.uni-bonn.de/system/bionics.html参照)。蓮の葉は疎水性であり, 葉の表面上を流れる水が, その進行中に取り込んだ埃の粒子を保持している。この効果は, 表面上の厚いワックスの層と, 葉の表面の彫り (図7参照) による疎水性との組み合わせによって実現されている。このために, 水滴は, 葉に接触しているときに, 多少なりとも球形を保つように力が働き, 他の汚れが葉にくっつく傾向を減らす (Barthlott & Neinhuis 1999)。この特性は外装用塗料 (「Lotusan」) に組み込まれ, 表面がセルフ-クリーニングになる (「ひとりでにきれいに保たれる」)。


Fig7LotusLeaf (1)
図7. 「蓮の葉効果」の核心をなす葉の表面の構造

<ハスの葉の表面と断面>

img_901578_24904179_0.jpg
http://blogs.yahoo.co.jp/pphotoex/24904179.html

img_901578_24964630_0.jpg
http://blogs.yahoo.co.jp/pphotoex/24964630.html

http://blogs.yahoo.co.jp/pphotoex/24964630.html
先日投稿した「蓮(ハス)の葉の表面」の記事の続きです。

 今回は、蓮の葉の断面を観察してみました。写真は40倍対物レンズで撮影した写真です。
 葉の上側方向に突起状に飛び出している細胞が、「前回の記事」において、葉の一面に存在していた粒状の細胞(突起細胞)になります。突起の先は直径10μm弱の円弧で作られているようです。また、突起細胞の下の層の細胞は葉緑素を持っていますが、突起細胞は葉緑素を持っていないようです。あたかも突起細胞が「葉緑素を持っている細胞」を守っているかのようです。



<布地の超はっ水性>

布地に超はっ水性を持たせるには、やはり二通りあって、以下の例は、繊維の径の小さいものを選んでの‘物理的手法’による方法である。

4d9dbc54.jpg

http://matsu-hajime.livedoor.biz/archives/51976768.html
ご覧のように、まるでレインコートのような撥水。みるみる水玉がこぼれ落ちていきます。これまでは(スプレーなどでの表面)加工を行うと素材感が損なわれていましたが、イタリア・イギリスなどの番手が細い生地ながら、撥水させることが可能となったのです。


傘や風呂敷等にも同様なものがある。

もう一つの方法は、‘スプレー’を布生地にかけて、化学的な手法である。これについては次回。

(つづく)
スポンサーサイト
[2013/05/18 02:08] | サイエンス | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
<<切られ与三郎の墓 | ホーム | いい香りのする花(その1):カラタネオガタマの木>>
コメント
コメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する

トラックバック
トラックバック URL
http://kissyarita.blog.fc2.com/tb.php/525-6e46b0e4
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
| ホーム |
designated by FC2